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平成30年税制改正について

2018年02月20日
税務・会計情報

 平成30年度の税制改正につき、中小企業(資本金1億円以下)に適用できるものを中心に説明します。
なお、これらは昨年12月に閣議決定された段階のものであり、今後の国会での法律成立をもって正式決定されます。

【平成30年から適用】
1.所得拡大促進税制の拡充(H30.4/1~H33.3/31に開始する事業年度が対象)
 中小企業者等については、平均給与等支給額が対前年比1.5%以上増加等の要件を満たす場合には、給与等支給増加額の最大15%相当額の税額控除を受けることができます。(従来は平成24年度比3%増などの要件もありました)
また、平均給与等支給額が対前年比2.5%以上増加し、かつ教育訓練費が前年比10%以上増加する等の要件を満たす場合には、税額控除額が給与等支給増加額の最大25%相当までアップします。

2.非上場株式にかかる納税猶予制度の拡充(H30.1/1~H39.12/31の贈与・相続が対象)
 10年間の時限措置として、非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予制度が拡充されます。
(1) 猶予対象の株式の制限の撤廃 ・・・発行済総株式数の2/3まで → 取得した全ての株
(2) 納税猶予割合の引上げ ・・・対象株式に係る相続税額の80% → 100%(贈与税は
    従来から100%)
(3) 雇用確保要件の弾力化 ・・・承継後5年間で平均8割雇用維持できなければ猶予終了
    → 一定書類を出せば猶予継続
(4) 承継先の拡大 ・・・後継者1名のみ → 後継者3名まで適用可
(5) 承継者の拡大 ・・・(元)代表1名のみ → 複数人(代表でない者含む)からの取得も対象

3.一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し(H30.4/1以後の相続・贈与が対象)
(1) 一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の課税の見直し
 個人から一般社団法人等に対して財産の贈与等があった場合の贈与税等の課税については、贈与税等の負担が不当に減少する結果とならないものとされる現行の要件(役員等に占める親族等の割合が1/3以下である旨の定款の定めがあること等)のうちいずれかを満たさない場合には贈与税等が課税されることとなり、その規定が明確化されます。
(2) 特定の一般社団法人等に対する相続税の課税
 同族関係者が理事の過半を占めている一般社団法人について、その同族理事の1人が死亡した場合、当該法人の財産を対象に、当該法人に相続税が課税されます。

4.小規模宅地等の特例の見直し(H30.4/1以後の相続・遺贈が対象)
(1) 別居親族の適用要件の厳格化
 持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次に掲げる者が除外されます。
① 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
② 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
(2) 貸付事業用宅地等の範囲の厳格化
 貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)が除外されます。
(3) 被相続人の居住の用に供されていた宅地等の範囲の明確化(介護医療院に入所した場合)
 介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして取り扱われます。

5.中小企業の設備投資に対する固定資産税の減免措置の新設(新法施行~H33.3/31に取得した資産が対象)
 革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、中小企業が行った一定の設備投資(以下の要件を満たすもの)について、固定資産税の課税標準を最初の3年間ゼロ~1/2以下とする特例措置が創設されます。
(1) 中小企業が先端設備等導入計画(仮称)を作成し、これが市町村の導入促進基本計画(仮称)に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けること。
(2) 取得した資産(機械装置、器具備品、建物附属設備など)が(1)の計画に記載されており、旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上するもの等であること。
(3) その他一定の要件

6.法人税における収益の認識等の明確化
(1) 収益の認識時期および価額が法令上明確化されます。
(2) 一定の法人に認められていた返品調整引当金制度および長期割賦販売等の延払基準が廃止されます。
(平成30年4月1日以後。ただし一定の経過措置あり)

【平成32年から適用】
1.給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
 給与所得控除及び公的年金等控除の控除額が一律10 万円引き下げられ、基礎控除の控除額が一律10 万円引き上げられます。
(1) 給与所得控除額(最低額:給与収入162.5万円以下の場合) ・・・ 65万円 → 55万円
(2) 公的年金等控除額(最低額)
    ① 65歳未満(公的年金収入130万円以下の場合) ・・・ 70万円 → 60万円
    ② 65歳以上(同上330万円以下の場合) ・・・ 120万円 → 110万円
(3) 基礎控除額 ・・・ 38万円 → 48万円 (住民税は33万円→43万円)

2.給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の見直し
(1) 給与所得控除
 給与収入が850 万円を超える場合の控除額が195 万円に引き下げられます。
ただし、子育てや介護に配慮する観点から、23 歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等を有する者等に負担増が生じないよう措置を講じられます。
(2) 公的年金等控除
公的年金等収入が1,000 万円を超える場合の控除額に195.5 万円の上限が設けられます。
公的年金等以外の所得金額が1,000 万円超の場合は、控除額が引き下げられます。
(3) 基礎控除
合計所得金額2,400 万円超で控除額が逓減を開始し、2,500万円超で消失する仕組みとなります。

3.青色申告特別控除の65万円控除の厳格化
 取引を正規の簿記の原則に従って記録している者で従来から青色申告特別控除の65万円控除の適用を受けていた個人について、次のいずれの要件をも満たさない場合には、当該控除額が55 万円に引き下げられます。
(1) その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する国税
関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付け及び保存を行っていること。
(2) その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと。