今回は平成28年4月1日から適用される消費税の改正で影響力が高い
高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例について紹介したいと思います。
<概要>
高額特定資産を取得した場合について、一定期間は免税事業者になることが出来ず簡易課税制度も受けることができなくなりました。
<背景>
改正前は高額の不動産等を取得した段階で仕入税額控除の適用をうけ、その後簡易課税を選択することにより、その高額特定資産の譲渡後に改めて仕入税額控除を受けるという消費税の二重控除や、取得後に免税事業者になることで調整対象固定資産の調整を逃れるといった租税回避行為が行われていました。
今回、これを規制するために改正が入りました。
<用語>
高額特定資産・・・1取引単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜)が
1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。
自己建設高額特定資産・・・他の者との契約に基づき又はその事業者の棚卸資産若しくは調整対象固定資産として、自ら建設等をした高額特定資産をいいます。
<適用時期>
平成28年4月1日以後に高額特定資産の課税仕入等を行った場合又は同日以後に自己建設高額特定資産の建設等が完了したものについて適用されます。
自己建設高額特定資産の建設等について、建設等に要した費用の額が1,000万円以上となった日が平成28年4月1日前である場合は、平成28年4月1日を1,000万円以上となった日とみなします。
ただし、平成27年12月31日までに契約した契約に基づき、平成28年4月1日以後に高額特定資産の課税仕入れ等を行った場合又は自己建設高額特定資産の建設等を行った場合については、この規定は適用されません。
<適用要件>
次の全てに該当する場合に下記の規定が適用されます。
①課税事業者であること。
②簡易課税制度の適用を受けていないこと。
③高額特定資産の課税仕入等を行った場合又は自己建設高額特定資産の建設等に要した費用の額が1,000万円以上となった場合。
<規定内容>
高額特定資産の課税仕入れ等を行った日の属する課税期間の翌課税期間から、高額特定資産の課税仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する課税期間までの各課税期間中については納税義務が免除されず、簡易課税制度の適用も受けることができません。
自己建設高額特定資産の建設等に要した費用の額が1,000万円以上となった場合は、その1,000万円以上となった日の属する課税期間の翌課税期間から、建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間中については納税義務が免除されず、簡易課税制度の適用も受けることができません。
<まとめ>
今回の改正で高額特定資産を自己建設するような不動産会社にとっては、規定にあるように1,000万円以上となった日の属する課税期間と建設等が完了した日の属する課税期間が離れているほど、課税事業者を強制され簡易課税も受けられない期間が長くなりますので、特に注意が必要です。