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消費税率の引き上げに関して注意すべき点

2013年11月14日
税務・会計情報

消費税率の引き上げが正式に決定しました。

平成26年4月1日から8%に、平成27年10月1日から10%と2段階で引き上げられる予定です。
ただし、2段階目の10%については、2段階目の引き上げによる景気動向により変更時期が変わるかもしれません。

 

今回の消費税率改正でもっとも注意すべき点は次の2点になると思います。

1. 経過措置
2. 消費税の転嫁に関するガイドライン(消費税転嫁対策特別措置法)

ここでは、この2点に絞って説明したいと思います。

 

Ⅰ 経過措置
押さえておきたい、主な経過措置は次の通りです。

8%への税率引き上げ後においても、旧税率の5%が適用される主な事例は次の通りです。

①旅客運賃等
平成26年4月1日以後に行う旅客運賃、映画、演劇、美術館、遊園地等の入場料金等のうち平成26年4月1日前に領収しているもの

②電気料金等
平成26年4月1日前から継続して契約している電気、ガス、水道、電話などの料金で、4月中に検針などで料金が確定するもの

③請負工事等
平成8年10月1日から平成25年9月30日までに締結した工事(製造を含む)に係る請負契約に基づき、平成26年4月1日以後に引き渡される場合

④資産の貸付
平成8年10月1日から平成25年9月30日までに締結した資産の貸付に係る契約に基づき、平成26年4月1日前から同日以後引き続き貸し付けを行っている場合(注 一定の条件を満たす場合)における平成26年4月1日以後に行うその資産の貸付

上記の一定の条件とは 事業者が賃料の変更を求めることができない場合や契約期間中に途中解約ができない場合などです。したがって契約書に「経済事情の変動、公租公課の増額等著しく不相当となった時には、協議の上賃料を改定することができる」などある場合には経過措置は適用できません。

⑤通信販売
通信販売の方法により商品を販売する事業者が、平成25年10月1日前にその販売価格等を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、平成26年4月1日前に申し込みを受け、提示した条件に従って平成26年4月1日以後に行われる商品の販売

 

Ⅱ 消費税の転嫁に関するガイドライン

次に2段階の税率変更ということもあり、スムーズな転嫁が行われるように、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」に基づき公正取引委員会、消費者庁、財務省がそれぞれのガイドラインを公表しています。

たいへん分量がありますので、重要な部分のみをまとめてみました。

 

1.転嫁拒否をしてはいけない
簡単にいいますと大企業等(注1)がその力関係を利用して、下請けや取引業者に消費税分の値下げや値引き等(注2)を要求することは認められません。
違反すれば公正取引委員会等から勧告、公表等が行われます。

(注1)大規模小売業者、資本金3億円以下の事業者と継続取引を行う事業者
(注2)事後的な減額、買いたたき、チケット等の強制購入、税抜き価格での交渉、報復行為を含みます。

2.禁止される表示(消費税分を値引きする等の宣伝や広告)
次のような表現をした広告や宣伝は禁じられています。
①消費税を転嫁していない表示「消費税は転嫁しません」「消費税は当店が負担します」
②消費税と関連付けた値引「消費税率上昇分値引きします」
③.②に準ずるもの「消費税相当分のポイントを付けます」

3.価格表示の特例
示価格が税込表示であると誤解されないための措置を講じていれば「税込価格」を表示しなくてもよいこととなりました。

段階で消費税率が上がる予定ですので、カタログ等の印刷費用や作業の煩雑さを避けるために当分の間認められる特例です。原則は「税込価格」による表示です。

したがって、次のような表現は認められます。

① ○○円(税抜)
② ○○円(税抜価格)
③ ○○円(本体価格)
④ ○○円+税
⑤ 個々の値札等には○○円と税抜価格のみを表示し、別途、消費者の目につきやすい場所に「当店の価格は全て税抜価格となっています。」といった掲示により表現をする

4.転嫁、表示カルテル(共同行為)の容認
平成26年4月1日以降に供給する商品又は役務を対象にした、事業者又は事業者団体が行う転嫁カルテル・表示カルテルが独占禁止法の適用除外となります。(公正取引委員会が定めた期間内にあらかじめ届け出ることが必要です。)