新着情報

TOPICS新着情報

親族内承継における事業承継計画―その1―

2012年05月14日
税務・会計情報

事業承継のすすめ方
「事業承継」とは、「事業」「経営」「会社」「資産」の4つの承継をいう。
事業承継を円滑に進め、成功に導くためには、次の5つのステップを踏まえ、事業承継を策定し、実施する必要がある。

1.経営者の気づきと動機付け
2.現状分析
3.方向性の決定
4.事業承継計画の策定・スケジュール化
5.計画の実施・見直し

1.経営者の気づきと動機づけ

(1)会社の経営課題の優先順位が低い
理由としては、①事業が順調である限り緊急性は低い、②自分の地位が相対的に低下する、③事業承継後の自身の不幸を連想させる、などがある。
事業承継の問題解決は、一朝一夕にはできないため、むしろ最重要課題になる前に、できるだけ早く取り組むことが大切である。

(2)経営環境の整備に時間がかかる
①会社の人間関係が変わる
1つの事業には、社長を中心として、社外では取引先や金融機関、社内では役員や従業員など、多くの人が携わっている。
事業承継に伴って、会社の人間関係が大きく変わるため、時間が必要となる。

②家族関係が変わる
子供が継ぐといっても、さまざまなケースがある。
誰に事業を継がせるにしても、子供たちの家族とその人間関係は大きく変化していくもので、時間が必要となる。

(3)財産の移転には税金が付きまとう
税金の問題も承継に時間がかかる要因の1つである。
生前に子供に贈与をすれば子供に贈与税、子供に財産を売却すれば親に所得税、子供に財産を低額で売却すれば子供に贈与税、亡くなるまで財産を移転しなければ相続税、などがかかる。
財産の移転には、税金が必ずつきまとうものだという基本認識に立って事業承継に臨まなければならない。

(4)借入金の整理
借金の整理は、財産の移転以上に困難である。借金を社長の代で整理できるかどうかは疑問であり、むしろ、事業承継者が負担できるであろう金額に抑え込むという発想が必要である。

(5)帳尻合わせを後継者に委任への判断
事業承継は、親の世代から子供の世代への引き継ぎである。
人を引き継ぎ、財産を引き継ぎ、ときには借金も引き継ぐ、それぞれが時間のかかる問題である。
相続を連想させるため、経営者にとって、事業承継問題はいわゆるタブーなのかもしれない。
でも、後回しにしたとしても帳尻を合わせないといけないのは、他ならぬ後継者である。

以上のように、事業承継はさまざまな要因で時間がかかるものである。
過去の延長で経営を考えていては、いつまでたっても事業承継の重要性に気づかないことがある。
戦略的思考をもって経営計画を策定し、これからの経営計画のあり方に想いをはせてみれば自ずと事業承継の場面がイメージできるはずである。
自ら気づき、動機付けができるよう一度経営計画を考えてみる必要がある。