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H23税制改正成立(②法人税など)

2012年02月07日
税務・会計情報

前回(12/27更新分)に続き、昨年12月2日に公布されたH23年度税制改正について触れたいと思います。

本題に入る前に【1】(前回)に関連して重大な改正が行われていますので、まずはそちらからご紹介します。

【1】増額更正できる期間の延長〔国通法70①関係〕

納税者からすれば全く有り難くないことですが、税務署が遡って増額更正できる期間が延長されました。

その期間は以下のとおり。

・所得税、消費税、相続税 :3年→5年
・法人税:①繰越欠損金関係:7年→9年  ②それ以外:5年(変更なし)
・贈与税:6年(変更なし)

☆適用時期:H23.12.2以後に申告期限が到来したもの
  
例えばH23/10月決算期の消費税(H24.1.3申告期限)は、従来だったらH27.1.4を過ぎれば税務調査等でとやかく言われる心配はなかったのですが、改正によってH29.1.3まで指摘を受ける可能性があることになりました。
書類の保存期間なども上記に応じて一定の見直しが必要になります。
なお、H23.12.1以前に申告期限が到来したものは従来どおりの期間で考えればOKです。 
更正の請求期間が延長されたのを加味しても、トータルとしてあんまり嬉しくないなぁというのが正直なところですね。 
 
続いて、本題である法人税関係・・・で気になったものを以下に書きます。

    
【2】法人税関係(主なもの)

(1)法人税率の引き下げ(30%→25.5%、22%→19%)
 別記事で紹介済みですので、省略。

(2)青色欠損金等の繰越控除制度の見直し〔法法57,58,81の9関係〕

①控除限度額の新設(所得全額控除可→8割限度)
大企業やそのグループ企業については、これまでは、過去の青色欠損金(累積赤字)が当期の所得金額より多ければその所得をゼロにすることもできたのですが、今後は控除前の所得金額の80%相当額までしか控除することができないことになりました。
なお、以下の法人については従来通りの取扱い(=100%控除可)です。

(イ)資本金1億円以下の普通法人(資本金5億円以上の法人による100%支配関係のある会社を除く)
(ロ)公益法人等、協同組合等
(ハ)人格のない社団等

☆適用時期:H24.4.1以後開始事業年度

②繰越期間の延長(7年→9年)

これまで7年間だった繰越期間が9年間に延びました。
従来分と同じく、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存が要件です。
    
※これに伴い、繰越欠損金に対する税務署側の増額更正可能期間も9年に延長されています。(上記【1’】参照)   

☆適用時期:H20.4.1以後終了事業年度において生じた欠損金

(3)定率法償却率の引き下げ(定額法償却率の2.5倍→2倍)〔法法31関係〕

表題のとおり。
資本的支出についても本体資産にかかわらず、支出日が適用時期にあれば200%定率法を適用する。
なお、新旧定率法はそれぞれ異なる償却方法として取扱われるため、同一区分の資産であってもグルーピングはできない。

☆適用時期:H24.4.1以後取得分(3月決算法人以外は同日以後「開始事業年度」からでもOK ※改正法令附則3②参照)

他に、貸倒引当金の適用法人の縮小、寄附金の損金算入限度額の減額などがあるんですが、とりあえず今回はここまでということで!