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宝くじと贈与税

2011年11月21日
税務・会計情報

贈与税というのはあまり馴染みがないのではないでしょうか。
所得税などと違って「聞いたことはあるけど納めたことはないなぁ」という方が大半だと思います。

実際、国の税収に占める割合(H21実績)でいうと、

所得税 :33.3%(12.9兆円)
消費税 :25.3%( 9.8兆円)
法人税 :16.5%( 6.4兆円)
酒税 : 3.6%( 1.4兆円)
相続税 : 3.2%( 1.2兆円)
印紙税 : 2.7%( 1.1兆円)
たばこ税: 2.1%(8224億円)
贈与税 :0.27%(1018億円)☆

となっており、他の税金よりも納められている額はかなり少なめです。

ただし、贈与税を侮ってはいけません。
特に大きな金額を移動する場合には要注意です。

なぜなら、、税率が非常に高いからです。

ここで簡単におさらいしますと、贈与税というのは、
個人から年間110万円を超える金品・利益を貰った人が国に納める税金です。

「大きな金額」というのはつまり「110万円を超える金額」ということになります。

「個人から」: 法人から貰った場合は所得税と住民税が課されます。

「年間」: 1回あたり110万円あるいは1人当たり110万円ではなく、「その人が(様々な人から)1年間に貰った金額の合計」が110万円を超えるか否かで判断します。

「金品・利益」: お金に限らず物品全般(ex.車、不動産,etc)が課税対象です。
借金をまけてもらったり肩代わりしてもらったりした場合などの経済的利益も含みます。

なお、生活費や教育費などが課税対象から除外されるなどいくつかの非課税制度もありますが、今回は割愛します。

 

先ほど「税率が非常に高い」と書きましたが、贈与税では「超過累進税率」という体系が採られており、(基礎控除額110万円も含めた)1110万円を超える部分については50%の最高税率が適用されます。

一時所得(所得税+住民税)と比べた場合、最高税率は同じ50%(40%+10%)ですが、これは基礎控除額(最高50万円)などを引いた残りをさらに半分にした金額のうち1800万円を超える部分について適用される税率ですから、単純に1110万円を超える部分に50%が適用される贈与税の課税体系の厳しさが分かるかと思います。

 

例えば、宝くじが2億円当たってそのうち5000万円を子供1人にあげたとすると((5000万-110万)×50%-225万=)2220万円の贈与税がその子供に課されます。
通常どおりやると、その半分近くが持っていかれるわけです。

ではどうすれば良いか。いくつか方法は考えられますが、、

(1) 一度に大金を移動するのではなく、何年かに分けて移動する。
(1年あたり110万円の基礎控除があり、かつ、低い税率を適用させることが可能)
ex) 10年かけて500万円ずつ
→(500万-110万)×20%-25万=53万
53万×10年=530万円

(2) 子供が何人かいるなら、5000万円を何人かに分散して渡す。
(貰う人ベースの累進課税体系なので、1人あたりの受取額を少なくして低い税率を適用させる。)
ex) 5000万円を4人に(1人1250万円)
→(1250万-110万)×50%-225万円=345万
345万×4人=1380万円

(3) 住宅の頭金として渡す。…… 非課税枠が110万プラス1000万(=1110万円)となる。

(条件)
①平成23年中にあげる。
②1月1日現在において20歳以上の直系卑属(子や孫)にあげる。
③貰った人がその時に日本に住んでいる。
④貰った人のその年の所得が2000万円以下。
⑤そのお金で翌年3/15までに親族以外から家を取得or増改築している。
⑥その家がその貰った人の居住用で、一定の要件(床面積50㎡以上など)を満たす。
ex)(5000万-1110万)×50%-225万=1720万円

(4) 相続時精算課税を選択する。
…… 贈与者(お金をくれた人/65歳以上限定)の相続の際に再計算することを条件として、非課税枠が2500万円、かつ、税率が20%となる。
ex)(5000万-2500万)×20%=500万円

ざっとこんなところでしょうか。

他の方法も各々の状況に応じて考えられ(宝くじの当選金ならでは上手な受け取り方もあるようです)、また、それぞれに要件や手順、デメリットもあります。
さらによく改正があったりもします。
(今年贈与税は減税されるはずでしたが、震災の影響で保留になってます)

具体的に進められる場合には、専門家に一度は相談されるのがベストでしょう。