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相続税法34条1項 連帯納付義務について

2011年11月07日
税務・会計情報

相続税法34条1項によれば、相続人が2人以上いる場合には、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈により受けた利益の額に相当する金額を限度として互いに連帯納付の責めに任ずると規定されいる。

現在、我が国においては核家族化が進み「家」の形は確実に変化している。
盆暮れに親族が本家にあつまって会食などということも今は昔話となっているといっても過言ではないだろう。
このように、親族の繋がりが希薄化する中で、一度相続が発生すると「相続」が「争続」となり訴訟となることも珍しいことではない。

連帯納付義務は遺産分割も終え、申告書を提出し相続税を納付したにも関わらず、他の相続人が相続税の納付を完了しなかった場合に共同相続人に対して「受けた利益の額」を限度として督促処分がなされる。
また、当該他の相続人が延納の許可を受けている場合は、相続税の申告期限から長期間経過した後に連帯納付義務が顕在化し、本税と延滞税を併せて多額の負担を強いられることが問題視されていた。
さらに、連帯納付義務に基づく徴収手続きを行うに当たり、事前の告知等の手続きは不要であるとされているため、連帯納付義務を履行された共同相続人は「不意打ち」による督促を受けることになっていた。

平成23年の税制改正により、相続人が延納又は物納の許可を受ける場合は、共同相続人に対してその旨が通知されることになり、相続税の連帯納付義務者が連帯納付義務を履行する場合に、本税に併せて納付する延滞税については、一定の要件の下、これを利子税(4%+基準利率)に代えることにより税負担を軽減する特例が設けられた。(相法34条、51条)

私個人の見解として、昭和55年の最高裁判決を覆すこの改正は、長年にわたり争訟の原因となっていた「連帯納付の責」の問題解決における前進と考える。
しかし、連帯納付義務の課題はまだ残されており、相続・遺贈の現状に合致した税制の構築を期待する。