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競馬の払戻金と所得税

2011年09月13日
税務・会計情報

少し前になりますが、中央競馬の「WIN5」という馬券で100円につき2億円の配当が出ました。
100円で2億円って凄いですね。

WIN5というのは指定された5レースの1着馬をすべて当てるというもので、今年になって新しく
できた馬券です。

1レースあたり平均15頭くらいの馬が出走するので、当たる確率は(15の5乗で)759375分の1
くらいでしょうか。
それまで一番難しいとされていた3連単(1レースの1~3着馬を順番通りに当てる馬券)が
2730分の1(15頭出走のレースの場合)ですからその途方もない確率の低さが分かります。

 

的中の記事を見て単純に「すごいなぁ。いいなぁ」と思っていたのですが、
仕事柄なのか何なのか、ある思いが湧いてきました。

「もしや…税金めっちゃかかる!?」

そうです。馬券の払戻金には税金がかかります。
なぜなら所得税法上の「一時所得」に該当するからです。

 

・一時所得(国税庁HPタックスアンサー/所得税基本通達34-1)

・・・ 営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての
性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

(1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)、競馬や競輪の払戻金

(2) 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等

(3) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)

(4) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

 

はい、残念ながら(1)の最後の方に書いてあります。
競艇やオートレースについては触れられてませんが、勿論同じ扱いです。
(基本通達の方に「等」で押さえられてます。)

 

さて気になる税額ですが、一時所得にかかる所得税は

(1) 一時所得の金額
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

(2) 課税所得金額
(1)×1/2-所得控除額(基礎控除額(38万円)など)

(3) 税額 ※(2)が1800万円以上の場合
(2)×40%-279万6000円

の流れで求められますので、

 

人生追いつめられた無収入の独身男性が、なけなしの100円で2億円当てたとすると…

(1) 2億円-100円-50万円=1億9949万9900円

(2) (1)×1/2-38万円=9936万9950円→9936万9千円 (千円未満切捨て)

(3) (2)×40%-279万6000円=3695万1600円

で、所得税だけで3700万円弱になります。

 

そんな彼に、さらに追い打ちをかけるように住民税も課されます。

(1) 一時所得の金額
所得税と同じ

(2) 課税所得金額
(1)×1/2-所得控除額(基礎控除額(33万円)など)

(3) 税額
(2)×10%-調整控除額[{人的控除額の差の合計-((2)-200万円)}×5% ※2500円未満→2500円]

の流れで計算して、

 

(1) 1億9949万9900円

(2) (1)×1/2-33万円=9941万9950円→9941万9千円 (千円未満切捨て)

(3) (2)×10%-((38万円-33万円)-((2)-200万円)×5%<2500円 ∴2500円)=993万9400円

 

となり、合計で4689万1千円が国や自治体に税金で持って行かれます。

2億円2億円と騒いでいますが、実質は1億5千万円くらいです。
まぁそれでも充分だとは思いますが。

 

当たったお金は1銭たりとも渡したくない!!

そんなあなたには「宝くじ」や「TOTO」がおすすめです。

これらは馬券の払戻金と違って、税金が全くかかりません。
2億円当たったら全額自分のものです。

一見すると、どちらも一時所得の(1)に当てはまりそうなんですが、、なぜか!?

それは別の機会に…(笑)