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~タックス・ヘイブン対策税制~

2011年09月09日
税務・会計情報

連日、急激な円高のニュースが話題となっていますが、資源の乏しい我が国においては国際的な取引は必要不可欠なものであります。

今や、国際取引は企業規模の大小を問わず盛んにおこなわれています。
そこで気をつけていただきたいのが、タックスヘイブン対策税制の適用の可否です。

タックスヘイブン対策税制とは、税負担が著しい国に子会社を設けることにより、行われる租税回避を防止するため、昭和53年に我が国において導入された制度です。
その後、幾度となく改正を繰り返し現在にいたっています。

タックスヘイブン対策税制が適用については、さまざまな判定を行いますが、ここではその一つである租税負担割合、いわゆるトリガー税率について説明したいと思います。
このトリガー税率は平成22年税制改正で25%から20%に改正されました。

トリガー税率とは、租税負担割合のことであり、我が国においてはこの割合が20%以下なら軽課税国と判断され、タックスヘイブン対策税制の適用の可能性が生じてきます。

平成4年の税制改正までは「ブラックリスト方式」により大蔵大臣(現:財務大臣)が指定した41ケ国の国または地域に限定されていましが、租税回避を完全に防止することが困難となり、より一層規制を強めるために現在の租税負担割合による判定に改正されました。

これより、自身が租税回避目的で子会社を設置し事業を行っていなくともタックスヘイブン対策税制の適用を受けることがあるということです。
平成4年改正以前ならリスト掲載国以外で取引を行っていれば、適用可能性はなかったのですが租税負担割合による判定はその国の実効税率が20%以上であったとしても、外国子会社の総所得のうち、法人税額の占める割合が20%以下であるなら軽課税国となります。

諸外国においては株の譲渡によるキャピタルゲインを非課税としている場合があります。
例えば、内国法人甲社が、法人税額25%のA国において外国子会社を設立し経済的合理性のある事業を行っていたとします。
ある事業年度において、外国子会社が保有していた株を譲渡したことにより、主たる事業による利益の2倍をこえるキャピタルゲインが生じその事業年度の租税負担割合が20%以下になった場合。
(主たる事業による所得10億円×法人税率25%)÷(主たる事業10億円+非課税所得20億円)≒8.3%
つまり、A国においては法人税率25%であり、トリガー税率20%超ですが、A社の租税負担割合はトリガー税率以下であり、タックスヘイブン対策税制の適用可能性が生じてきます。

このように、外国で子会社を設立している法人が、知らず知らずに合算課税の対象となることがあるので注意が必要です。