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工事の請負に係る収益費用の帰属事業年度の特例

2011年09月05日
税務・会計情報

【1】概要

今回は法人が長期大規模工事の請負をした場合の帰属事業年度の特例について述べたいと思います。
帰属事業年度とは簡単にいうと収益及び費用を計上する事業年度のことで、帰属事業年度の特例とは工事進行基準のことです。

 

【2】長期大規模工事の意義

工事(製造及びソフトウェアの開発を含む。)のうち、次の要件を満たすものをいう。

(1)着手日から工事契約において定められている目的物の引渡期日までの期間が1年以上であること

(2)請負対価の額が10億円以上であること

(3)工事契約において、その対価の額の1/2以上がその目的物の引渡期日から1年を経過する日後に支払われるものでないこと

 

【3】工事進行基準の方法

次の金額をその事業年度の収益の額及び費用の額とする方法をいう。

(1)工事の請負対価及び見積工事原価の額×進行割合-その事業年度前の各事業年度の収益の額及び費用の額とされた金額

(2)進行割合
その工事のために既に要した原材料費、労務費その他の経費の額の合計額÷見積工事原価の額

 

【4】解説

資産の販売による損益は、引渡日又は役務提供の完了日の属する事業年度に計上するのが原則です。
しかし、長期大規模工事については、各事業年度の企業実績を適正に表すこと、国際的にも工事進行基準を採用する方向にあること等により、工事進行基準の採用を強制されています。
つまり原則によると、その目的物の引渡事業年度まで損益が計上されないことになり企業活動の状況を適切に開示されないことになってしまうからです。
以上の理由によりこの特例が規定されています。