相続には、相続人全員の協議による遺産分割と、被相続人が生前に遺言状を作成することにより、その遺産の処分について被相続人の意思を反映させる方法があります。
遺言状には一般的に
自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言があります。
公正証書遺言は、公証人に依頼し被相続人の意思を公正証書として原本を公証役場で保管され正本・謄本等は本人推定相続人遺言執行者等が所有します。
費用は多少必要ですが、他の遺言では遺言としての要件を満たしていないと無効な遺言となる可能性があります。
また、家庭裁判所での検認が必要であるとともに、時間とともに紛失の恐れもありますので公正証書遺言がベターではないでしょうか。
ただし、民法には相続人に遺留分が認めております。
遺留分を侵害する遺言がなされた場合、その相続人は遺留分減殺請求を行うことができます。
なお、遺留分は配偶者および直系卑属(子等)・直系尊属(両親)にのみ認めており、兄弟姉妹には認めていません。
遺言状はどのようなケースに必要か
①相続人以外の者に遺産を与えること
②子供のいない夫婦
民法では直系卑属(子等)がいない場合は、配偶者と直系尊属(両親)が相続人に、直系尊属(両親)がいない場合は兄弟姉妹が相続人になると定められており、配偶者と直系尊属のケースでは配偶者3分の2、直系尊属が兄弟姉妹が3分の1となり、兄弟姉妹が相続人の場合は配偶者4分の3、兄弟姉妹が4分の1という法定相続分です。
遺産分割協議に両親または、兄弟姉妹(死亡している者がいれば代襲相続人である甥・姪)に協力を求めなければならないが、遺言を書いておくことにより配偶者に遺産を相続させることが可能になる。
③事業経営を行っている人
事業用資産を事業承継者以外の者が相続すればその後の事業経営に支障が出る可能性があります。
例えば工場・店舗等の土地建物を事業承継者以外の者が相続すれば、銀行等より借り入れを行うときに担保提供を求められるが、その時に相続した人の同意が得られるか、また明け渡しを求められないか不安定になります。
遺言を書いておくことにより事業承継者に事業用資産を主に他の相続人に、それ以外の財産を指定することにより事業の承継が行いやすくできるように配慮できます。
④内縁の配偶者がいる人
配偶者との間において婚姻届が出されていない者のことです。
法律上婚姻していませんので事実婚が相当の期間経過していても相続権はありません。
遺言を書いておくことにより内縁の者に財産を遺贈することができます。
⑤推定相続人に生死不明の者がいるとき
推定相続人に生死不明の者がいるときは、遺産の分割ができません。
また、銀行等より預金の引き出しもできません。
遺言を書いておくことにより、遺産の分割手続きが滞りなくできます。
⑥推定相続人に身体障害者の子供がいる人
身体障害者の生計の確立をはかるために、他の相続人より多くの財産を相続させたいとき、遺言を書いておくことによりそれが可能になります
その他皆様により事情があると思います。
当事務所では提携している弁護士・司法書士がいますのでお気軽にご相談ください。